「今年の四国、結局どこが強いの?」——夏の高校野球四国地区の見どころを調べても、出てくるのは日程表とスコア速報ばかりで、肝心の「どこを見れば楽しめるか」がわからない。
そんな経験はありませんか。実は今年の四国は、春の四国大会を制したのが優勝候補の常連ではなく、愛媛の新田だったという“異変”から読み解くと一気に面白くなります。
結論から言えば、四国の夏は「新田に各県の強豪がどう挑むか」という一本の物語です。
この記事を読めば、徳島・香川・愛媛・高知の4県それぞれの本命・対抗・注目選手と、観戦のツボがまとめて頭に入ります。数字と実際の試合結果を出典付きで整理したので、地元以外の県の見どころもすっきりつかめます。
2026年夏、四国地区の高校野球はここが見どころ|全体の勢力図

四国の夏を楽しむ最大のコツは、「春の四国王者・新田」を基準に置くことです。
理由は、春の勢力図がそのまま夏の注目カードにつながっているからです。
2026年春の第79回春季四国地区大会の決勝は、新田(愛媛)が高知商(高知)を5対3で破り、愛媛県勢として20年ぶりに四国を制しました。
しかも新田はここに至るまでに、初戦で高知農を延長タイブレークの末に5対4、続く2回戦で香川の英明を3対1で退けています。
つまり新田は、高知と香川の強豪を続けて倒して頂点に立ったわけです。四国全体の実力校を一度なぎ倒したチームがどの県にいるのか——これを知っておくだけで、各県の夏の戦いに“縦の糸”が通ります。
各県の夏の日程も頭に入れておきましょう。開幕はいずれも7月11日前後で、決勝は香川が7月25日、高知が同25日、愛媛が同26日、徳島が同27日に予定されています。
四国は決勝ラッシュが7月下旬に集中するため、後半戦は毎日どこかの県で頂上決戦が見られる計算です。
今年の四国の頂点は「愛媛・新田」から見えてくる
新田がなぜ台風の目なのかを、もう少し具体的に見てみましょう。
決勝で先発した3年生エースの築山朔弥投手は、10安打を浴びながらも3失点で完投しました。つまり打たれても粘って試合を作る“辛抱の投手”です。
派手な剛速球で押すタイプではなく、守り勝つ野球で四国を制した点が、今年のトレンドを象徴しています。
一方で敗れた高知商は、1993年以来33年ぶりの四国制覇に手が届きませんでした。
古豪の悲願がまた一年おあずけになったという文脈も、夏の高知大会を見るうえでの伏線になります。
低反発バットで四国の試合はどう変わった?
「見どころ」を語るなら、道具の変化も外せません。2024年春から導入された新基準の金属バット、いわゆる低反発バットの影響です。
反発が抑えられたことで打球が飛びにくくなり、ホームランが減ってロースコアの試合が増えました。
その結果、四国のような投手力と小技・守備を伝統とする地域では、1点を守り切る野球の価値が上がっています。新田が打ち勝つより守り勝つ形で四国を制したのも、この流れと無縁ではありません。
「一発が出にくいからこそ、送りバントや盗塁、堅い守備で刻む攻防」が、今年の四国観戦の隠れた見どころです。では、県ごとにその中身を掘り下げていきましょう。
【徳島】守りの阿南光と、打って47年ぶりの海部
徳島の見どころは、タイプの異なる2校の対比です。結論から言うと、投手力の阿南光と、打力で勝ち上がった海部が主役です。
第1シードはセンバツ出場の阿南光で、春夏連続の甲子園を狙います。
複数の投手を擁する守りのチームで、ロースコアの接戦に強いのが持ち味です。対する第2シードの海部は、この春、県大会を47年ぶりに制した勢いをそのまま持ち込みます。
海部の見どころは、なんといっても引きの厳しさです。
夏の組み合わせでは、初戦から夏連覇を狙う鳴門と当たり、同じブロックには2年前の夏の覇者・鳴門渦潮まで入りました。
県を47年ぶりに制した新鋭が、4強にたどり着く前に伝統校の壁を連続で越えなければならない——この「死のブロック」を打線で突破できるかが、徳島最大の注目点です。
第3シードは生光学園、第4シードは進学校の城東で、城東は初戦で名門・徳島商と対戦します。決勝は7月27日に予定されています。
なお、シード校であっても初戦から強豪と当たる組み合わせは珍しくありません。徳島は伝統校が多く、ノーシードに古豪が沈むことも多いため、序盤から見逃せない一戦が続きます。
(参考:高校野球ドットコム 徳島大会の組み合わせ)
【香川】投打二刀流エースの英明と、春王者・高松商
香川のキーワードは「二刀流エース」と「古豪の復権」です。センバツ8強の英明が春夏連続出場を狙い、春の県王者・高松商が4年ぶりの夏を目指します。
英明の見どころは、投げて打てる左腕エースの存在です。
報道によれば、最速141キロの左腕・冨岡琥希投手は、昨秋の明治神宮大会で151球を投げ切る完投勝利を挙げながら、自らも4打点を叩き出しました。
投手が打線の中軸を兼ねるチームは、接戦での勝負強さが段違いです。ただし夏の組み合わせは厳しく、英明は初戦から秋春ともに8強入りした香川中央と対戦し、同じブロックには秋4強・春8強の四国学院大香川西も控えます。8強に届く前が最大の関門という構図です。
一方、春の県大会を制した高松商は初戦で坂出工と、大会連覇を狙う尽誠学園は高瀬とそれぞれ対戦します。
伝統校の高松商が久々の夏切符を掴めるかも見どころです。香川は英明・高松商・尽誠学園という私学と伝統校が拮抗しており、シード同士の潰し合いが起きやすい構造です。
四国大会で新田に敗れた英明が、その悔しさを夏にどうぶつけるかも見どころのひとつでしょう。決勝は7月25日に予定されています。
(参考:高校野球ドットコム 香川大会の組み合わせ)
【愛媛】四国王者・新田と、古豪「三度目の因縁」今治西×済美
愛媛は今年の四国王者を擁する県であり、見どころは二つあります。本命・新田の戦いと、ノーシードに沈んだ古豪同士の“因縁”です。
まず本命の新田は、四国大会優勝の実力そのままに、初戦で南宇和と対戦します。第2シードの松山聖陵は、ノーシードの伝統校で昨夏準優勝の松山商といきなり激突する好カードです。春準優勝のシードが名門を迎え撃つ、初戦屈指の一戦になります。
そして愛媛最大の見どころが、ノーシード2校となった今治西と済美の“三度目の対決”です。両校は同じブロックに入り、8強をかけた3回戦で当たる可能性が出てきました。
この2校、昨秋と今春に続けて対戦し、いずれも今治西が勝っています。報道によれば、今治西は左肩・左肘の状態を抑えていた左腕エースが夏へ向けて復調し、済美には昨夏の甲子園でスタメンマスクをかぶった捕手が残ります。連敗中の済美がリベンジを果たすのか、今治西が三度目も制するのか。
開会式の選手宣誓を務めるのも今治西の主将で、県内の注目度の高さがうかがえます。決勝は7月26日に予定されています。
(参考:高校野球ドットコム 愛媛大会の組み合わせ)
【高知】主役級が4校ひしめく四国最激戦区
四国で最も濃い戦国模様が高知です。結論から言えば、優勝を狙える実力校が4校ひしめき、しかも王者・明徳義塾が挑戦者に回る珍しい構図が生まれています。
第1シードは春の県王者・高知商、第2シードが名門・明徳義塾、第3シードが土佐、そして第4シードが大会連覇を狙う高知中央です。
とりわけ第1シード高知商のゾーンは激戦で、センバツ出場の高知農やノーシードの古豪・高知が同居し、4強に上がる前から実力校同士が潰し合います。
高知の物語の中心は、高知中央の存在です。
昨2025年夏の高知大会決勝で、高知中央は明徳義塾を3対2で破り、2年ぶりの甲子園を掴みました。名門を土壇場で沈めた王者が、今年はシード校として連覇に挑みます。
第2シードの明徳義塾は、その雪辱を果たす立場です。伝統校が「追う側」に回るという珍しい構図が、今年の高知を面白くしています。決勝は7月25日に予定されています。
去年の主役・151キロ右腕 堅田徠可のドラマ
高知中央を語るうえで外せないのが、右腕・堅田徠可投手のドラマです。
昨夏の決勝は、エースが不調で急遽先発した堅田が、最速151キロをマークして2失点完投という劇的な内容でした。試合はイニングスコアで明徳義塾が「101 000 000」の2点、高知中央が「000 110 01X」の3点。
8回二死一・二塁から勝ち越した1点が決勝点でした。緊急登板の投手が名門を沈めた——この物語を知って観ると、今年の高知中央の一球一球が何倍も面白くなります。
加えて報道によれば、春王者・高知商には高卒でのプロ入りを公言する最速148キロ級の右腕もおり、球速自慢の投手が県内に揃っています。
四国4県の見どころ早わかり比較表
ここまでの内容を、4県横並びで整理します。忙しい方はこの表だけでも全体像がつかめます。
| 県 | 本命・注目校 | 対抗・ダークホース | 注目のポイント | 決勝予定 |
|---|---|---|---|---|
| 徳島 | 阿南光(センバツ組・投手力) | 海部(春47年ぶりV・打力) | 海部の「死のブロック」突破 | 7月27日 |
| 香川 | 英明(センバツ8強・二刀流左腕) | 高松商(春王者)/尽誠学園 | 英明の激戦ブロック突破 | 7月25日 |
| 愛媛 | 新田(四国王者) | 今治西/済美(ノーシード古豪) | 今治西×済美「三度目の対決」 | 7月26日 |
| 高知 | 高知商(春県王者)/高知中央(連覇) | 明徳義塾/土佐 | 主役4校の潰し合い | 7月25日 |
表で見ると、徳島と香川は「シード校が激戦ブロックをどう抜けるか」愛媛と高知は「ノーシードや挑戦者が主役級に挑む」という色分けが浮かびます。
県ごとにドラマの型が違うのも四国の楽しさです。なお選手の状態や球速は日々変わるため、観戦直前には各県の速報で最新情報をご確認ください。
よくある質問(FAQ)
読者からよく寄せられる疑問を、ここでまとめて解消します。
Q1. 今年の四国で一番強いのはどこですか?
春の時点で最も結果を残したのは、四国大会を制した愛媛の新田です。ただし夏は一発勝負のトーナメントで、各県の代表が甲子園を懸けて別々に戦います。春の実績は目安になりますが、夏は高知中央や英明など各県の実力校にも十分にチャンスがあります。
Q2. 注目選手は誰ですか?
投手では、昨夏に明徳義塾を破った高知中央の堅田徠可投手(最速151キロ)が象徴的な存在です。ほかにも報道ベースで、英明の二刀流左腕や高知商のプロ志望右腕などが挙がっています。球速や状態は変動するため、最新の速報でのご確認をおすすめします。
Q3. 低反発バットで試合はどう変わりましたか?
2024年春の導入以降、打球が飛びにくくなりホームランが減りました。結果として、四国が得意とする守備・機動力・小技の価値が上がり、1点を争うロースコアの接戦が増えています。
Q4. 決勝はいつ行われますか?
2026年夏は、香川と高知が7月25日、愛媛が7月26日、徳島が7月27日に決勝を予定しています。7月下旬は各県で頂上決戦が続きます。
まとめ
最後に、四国地区の夏の見どころを3点に整理します。
- 春の四国王者は愛媛・新田。高知・香川の強豪を倒して頂点に立ち、夏の各県はこの新田に挑む物語として読める
- 県ごとにドラマの型が違う。徳島・香川はシード校の激戦ブロック突破、愛媛・高知は挑戦者が主役級に挑む構図
- 低反発バットで守り勝つ野球の価値が上昇。1点を争う接戦が四国の隠れた見どころ
四国は「派手さ」より「粘り」で楽しむ地域です。
今年はどの県も物語が濃く、地元以外の試合を追ってもきっと引き込まれます。ぜひお気に入りの一校を見つけて、夏の四国を味わってください。
四国の各県大会は日程が7月下旬に集中するので、決勝の日付を手帳に控えておくと見逃しません。まずは気になった県の速報や組み合わせをチェックして、注目カードをカレンダーに入れておきましょう。
野球を楽しもう!!
Enjoy Baseball!!

